視線のビブリオテカ

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海へ

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迷子になって見つけた太平洋は心を荒ませた。

北海道の東、道東の海沿いは昏い夏と明るい冬を併せ持つ日本では特異な地域である。
雪は極端に少なく、冬もスニーカーで歩くことができる。
新品のスタッドレスタイヤで惜しみなくドライな路面を走り続けているとエミリー・ブロンテの「嵐が丘」を想起する風景に出会った。
「嵐が丘」の風景に海はないのだが。

かつて波によって浸食された地形はなだらか丘に突然窪地を生み出して単調な景色にリズムを生み出す、長靴のリズムを。

生まれた町、育った街は離れて時間が立ち過ぎて、知らない街となった。
知らない道、知らない建物を過ぎ去って変わらない地形と出会って郷愁という残酷な思いに心が至った。

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by koh-saka | 2017-07-11 20:33

謎の夜

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恐らく冬であろう、宇都宮であったか、新宿であったか、札幌であったか、はたまた帯広の可能性も捨てがたい。
夜であれば歩いて写真が撮れる程度の軽い酩酊の最中であろう。
構えているカメラは一眼にしては小さく見えることから、スマホかコンデジであろうか。
そこはロビーなのか個室なのか、ロビーであれば後ろに写る女性と思しき影は偶然だろうが、個室であれば誰なのであろうか。
日付を確認すればよいことなのだが、画像を見ながら思い出すというよりは、画像を読み解いていく楽しさに耽っている。

モノクロにHDRのぎらつき、HDRは悪趣味な癖になる。
風景の本質を逆なでするのだが、私には現実が実はかように見えていることを表現するためは必要な加工なのである。
写真なんてものは嘘しかつかない。

体内の嫌なものがガラスに映りこむ、変態的思想も、悪魔的詩情も、快楽的哲学もガラスは正確に受け止めて反映する。
そして非情にも足元を消し去って現実を提示するのだ。
信じているから足元を掬われるのだ。

足元のない自分の影を見ていると、無性に逃避したくなる。

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by koh-saka | 2017-07-11 17:20